ストックフォト専業の道(8)~現像とレタッチ

ストックフォト専業道

ストックフォトを本業とするまでは、デジタルカメラにおける「現像」という概念は頭になく、カメラで撮った写真をそのまま出していただけでした。

でも、その後、いろいろと勉強しながら作品を作っていく中で、考えは一変。テーマに合った作品に仕上げるための現像は、カメラで撮ることと同じくらい大事かもって、思うようになりました。

一方で、写真に手を加えるレタッチ作業も、映り込んでいる人物やロゴマークなどを不要箇所を削除する場合など、時として必須。

現像とレタッチ、いずれもストックフォトで売り上げを伸ばすには重要なスキルです。

デジタルカメラにおける現像

写真の現像というと、フィルムカメラ時代のネガの現像を思い浮かべますが、デジタルカメラの現像も同じ感じです。ただ、実際の作業は大きく違います。

まず、フィルムにおけるネガに当たるのが、RAWデータ。英語のRAWは「生の」という意味がありますが、その名の通り、撮影に関する、何ら加工していない生の情報がたくさん詰まったデータです。

そして、専用のソフト(Adobe Lightroomなど)を使い、RAWデータを元に、明るさ(露出)や色味などを自由に調整しながら、好みの写真を作りだすのが、デジタルの現像(RAW現像)です。

普通にデジタルカメラで写真を撮ると画像はJPEG形式で出力されますが、このJPEG写真は、RAWデータからカメラが内部で自動現像したもの、という感じでしょうか。

なお、たいていのカメラでは、デフォルトでJPEG出力のみの設定になっていると思います。RAW現像を行うためには、撮影前に、RAWデータを出力する設定に変えておく必要があります。

上は現像例。左がRAW現像なし、右がRAW現像あり。

RAW現像を知ってもその必要性は感じておらず、その後もいわゆる「撮って出し」のJPEG写真しか扱ってこなかった私には、専用ソフトが必要なRAW現像の敷居は高かったですね。

でもいざやってみると意外と簡単。明るさ(露出)、コントラスト、彩度などを少し調整するだけで、初心者でも、写真をちょっとかっこよくすることができました。

現像で自分好みの作品に

現像に少し慣れてくると、写真の見栄えをよくするだけでなく、こういった作品にしたいなっていう表現のようなものも意識するようになりました。

カメラから出力されたJPEG写真は「カメラおすすめの現像写真」。

RAW現像では、このおすすめJPEG写真とは違う、テーマに合った自分好みの写真にしようというわけですから、あらかじめ、どういう作品にしたいのか、というイメージを現像前に持つようにしています。

写真をカメラで撮るときとはまた別に、現像作業でも創造性が必要ですね。

例えば、上のカタツムリ写真では、雨の日のためコントラストが低く、さらに、地面も黒っぽく、茶色のカタツムリが目立っていない感じでした。

全体としては暗めを維持しつつ、カタツムリを目立たせたいなという考えで、カタツムリを少し明るくする一方で地面をさらに黒っぽくし、また、全体的にコントラストを上げてみました。

現像でこういう作品にしたいというイメージさえあれば、それに沿って露出などのパラメータを変えるだけなので、特別に凝ったことをしないのであればさほど難しくはないのかなと思います。

レタッチはほどほどに

商用利用可を売りとするストックフォトでは、作品の中に、人物(肖像権)やロゴマーク(商標権)、アート(著作権)など、他者権利を侵害する可能性のあるものが入っていると販売できません。

そういうものが映り込んでいる写真を販売する場合、レタッチで削除する必要があります。

例えば、航空機の写真なら、どこの航空会社かわかるようなロゴや装飾などを消します。

そうすると、このように真っ白な飛行機になってしまいますが、これでもある程度売れております。こういうのでも需要はあるということですね。

そのほか、私は自分の体を使った作品もよく作っているのですが、シミだらけの自分の汚い肌を少しでもきれいに見せるためにも、レタッチがんばっています。。。

もちろん、レタッチでは不要箇所を消すだけでなく、色味(ホワイトバランス)を大きな変えたり、背景を変えたり、さらにはAIを使って本来ないものを追加したりと、劇的な改変も可能です。

でも、ストックフォトで販売する場合は、次のような理由で、レタッチはほどほどに抑えた方がいいと個人的には思っています。

  • 自分の好みだけでいろいろ変えてしまうと、購入者側の編集の自由度が小さくなる
  • 過度のレタッチで作品のテーマが絞られてしまい、購入層(ターゲット)の範囲が狭まる
  • レタッチの手間がかかる割に、売れるかどうかわからない
  • AIを使ったレタッチは認められないか、認められてもAI生成タグをつける必要がある

ソフトについて

最後に補足ですが、現像とレタッチにはそれぞれAdobeのソフトを使っています。

(現像)Adobe Lightroom (レタッチ)Adobe Photoshop

定番のソフトというのもありますが、私の売り上げの主力が、Adobe Stockであるというのが大きいです。

Adobe Stockには、コントリビューター(投稿者)向けのボーナスプログラムというのがあります。これは、前年の販売数が一定以上の場合に、Adobe製品を1年間無料で使えるというものです。

PhotoshopとLightroomを含むフォトプランの他、イラスト作成用のIllustrator、動画編集用のPremiere ProやAfter Effectsなどのプランも対象で、その中から1つ選びます。

私は、Photoshop&Lightroomのフォトプランか、動画のPremiere Proのプランを選んでますね。毎日のように使用する必需品ソフトを無料で使えて大変助かっています。

年間販売数が6000とかになれば、上の製品すべてを使えるコンプリートプランが1年無料になるのですが、今はまだそこまで到達していません。今後の目標の1つです。

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