私が実際に販売しているストック素材サイトについて、それぞれの特徴などをクリエイター目線で紹介していきます。
今回は、PIXTA(ピクスタ)をご紹介します。
現在、GettyimagesやAdobe Stockなど海外大手が幅をきかせているこの業界で、PIXTAは日本企業が運営する老舗ストックサービスです。
PIXTAの特徴
日本企業の運営
PIXTAは、ピクスタ株式会社が運営する日本のストック素材販売サイトです。
海外運営のサービスの場合、日本語対応であったとしても、素材の登録で英語での入力を求められたり、重要な連絡が英文メールだったりと、何かと不便さを感じることがあります。
また、特に、米国企業のサイトで販売する場合は、諸々の税務手続きのために、米国の官庁への英語の書面提出が必要となります。これは、知らない人にはかなり面倒な手続きです。
その点、PIXTAは日本のサービスなので、すべて日本語でOK。
クリエイター向けに作成されたわかりやすいガイドもあり、ストック素材の販売にまだ慣れていない方には特におすすめです。
また、見逃すとまずい大事な連絡も、当然日本語のメールで届きますので安心ですね。
日本の税法に基づく源泉徴収や支払調書の作成もちゃんとしてくれますので、確定申告が必要な場合にも助かります。
ランク制度とコミッション率(ロイヤリティ率)
PIXTAでは、過去の1年間の販売実績に応じた、クリエイターランクという制度が導入されています。
また、このクリエイターランクに対して、コミッション率が定められています。
コミッション率は、販売額に対するクリエイターへの報酬額の割合のこと。一般には「ロイヤリティ率」と呼ばれることが多いです。
なお、クリエイターランクは、写真・イラストの販売にのみ適用されます。
動画販売に関してはランク制度はなく、コミッション率は販売実績に関係なく一律40%(非専属クリエイターの場合)です。
クリエイターランクが高いほどコミッション率は高くなります。つまり、ダウンロード数が増えると、ランクが上がって、ロイヤリティ率も上がるということですね。
クリエイターランクは1~6まであります。
ランクが2以上になると、自分のプロフィールページで、クリエイター名の横にランクが表示されます。私もなんとかランク2を維持しています。
なお、コミッション率の上昇以外に、クリエイターランクが上がることのメリットがあるのか(例えば、検索順位が上がるとか)はわかりません。
ですが、「高位ランク者=売れているクリエイター」なので、購入ユーザーから、お気に入り登録(SNSでいうフォロー)してもらいやすくなるかもしれません。
審査が通りやすい
多くのストック素材サービスでは、作品登録時に、その作品が販売条件を満たしているかを審査されるのですが、その審査基準は各社で大きく異なり、通りやすいところもあれば、却下率が非常に高いところもあります。
この点、PIXTAに関して言えば、審査はかなり通りやすいですね。
写真で言えば、ピントが少し甘かったり、ノイズがやや目立っても、たいてい審査に通ります。
なお、特定できる人物、ロゴや商標などが写り込んでいる場合は却下されるのは他社と同じです。
ただ、外で撮影した場合にビルの看板などが写り込んでいても、PIXTAの場合、街の景観の一部と認められれば審査に通ります。
これは、ふぐちょうちんがまだあったころの、大阪・新世界の昔の風景。こんな看板だらけの写真でも審査に通ります。
派手な看板が並ぶ「こてこて感」は新世界の大きな特徴ですが、こんなのも通るとは、他社の審査基準から考えるとちょっと驚きです。
また、派手な色の店の看板が並ぶ中華街の写真なんかも通ります。
逆に言えば、このような独特の雰囲気を持つ街の風景写真は、PIXTAでしか販売できないですね。
販売可能な素材の種類
PIXTAでは、写真・イラスト素材と、動画(映像素材)を販売できます。CG画像やCG動画もOKです。ただし、曲などの音声素材は販売できません。
また、生成AIを使用して作った画像など、AI生成素材の販売も可能です。
なお、生成AIを使用した静止画像は、写真っぽいものであっても、イラスト素材として取り扱われます。
生成AI学習用の素材販売
PIXTAでは、2024年から、販売している素材を、生成AI学習用にも提供するサービスをはじめました。
この生成AI学習用の素材販売は、通常の素材販売とは別口となっており、そのAI学習に対する報酬が別途支払われます。
報酬額は、売り上げからPIXTA側の経費を引いた残額の20%です。なお、Adobe Stockにも同様の制度がありますが、報酬率が明記されている分、こちらの方が透明性が高いです。
2024年分の販売に対する報酬は、2025年の1月に支払われる予定です。どの程度の額になるんでしょうかね、ちょっと楽しみです。
PIXTAの注意点
アップロード数の制限
PIXTAでは、クリエイターがアップロードできる素材の数に制限があります。
具体的には、1ヶ月にアップロードできる素材点数(アップロード可能枚数)が、クリエイターごとに決められています。
例えば、PIXTAにクリエイター登録をした当初は、1ヶ月にたった10点しか素材をアップロードできません。その後は、登録された素材の品質や販売実績に応じて、アップロード可能枚数が増減します。
つまり、手持ち素材がたくさんある場合、他社サイトならどんどん作品をアップロードできるのですが、PIXTAでは上の制限があるため、登録数を一気に増やせません。
登録作品の数が少ないとなかなか売れませんから、まずは、このアップロード可能枚数を早急に増やすことが重要です。
アップロード可能枚数に大きく影響を及ぼすのは、素材の品質です。
過去の審査で却下回数が多いと、アップロード可能枚数はなかなか増えませんので、却下を避けるためにも次の点に注意しましょう。
- 品質の高いものを厳選して出す
- 人物やロゴなど余計なものが入ってないか
- 個々の素材のタイトル・キーワードがおかしくないか
また、私の経験では、たとえ審査で却下されなかったとしても、品質があまりよくないものを出し続けた場合も、アップロード可能枚数が減ったことがありました。
先に少しお話しましたが、PIXTAではノイズが気になる写真でも審査に通ることが多いです。
そこで、登録作品数を増やすために、古いカメラで撮った、画質があまりよくない写真を数ヶ月出し続けたことがありました。
しかし、その間の審査で却下がほとんどなかったにもかかわらず、アップロード可能枚数が500→100まで激減したことがあります。
カメラ機能があまりよくない安価なスマートフォンで撮影した場合でも、同じようなことは起こり得ると思います。
最初はなかなか売れない
どのストック素材サイトでも同じですが、売り上げを伸ばすには、登録数を増やすことが一番重要です。
しかし、上のアップロード数の制限により、PIXTAにクリエイター登録した当初は、なかなか作品数を増やすことができません。
そのため、PIXTAはなかなか売れない、と感じる方は多いと思います。私も実際そうでした。
クリエイター登録をしてから、はじめて自分の作品が売れたのは4ヶ月後。さらに5ヶ月が経過してようやく、報酬の総額が、換金可能な10クレジット(1000円)に達しました。
ですが、その頃になると、アップロード可能枚数が100に上がり、登録作品数も増え、それに伴い、ダウンロード数も多くなってきました。
クリエイター登録当初のPIXTAでの売れ行きが、他社サイトと比べてかなり低いのは確かです。
でも、1年間我慢して作品を出し続けつつ、アップロード可能枚数を増やしていけば、そのうち、一気に売り上げを伸ばすのも可能でしょう。
定額制報酬額が安い
PIXTAの素材販売には、単品購入と定額制(サブスクリプション)の2種類があります。
ダウンロード数で見ると、定額制は単品購入よりも圧倒的に多いですが、その反面、コミッション(報酬)はかなり低いです。
例えば、クリエイターランクが1の場合、定額制でのダウンロード1回のコミッションが0.27クレジット(27円)です。
一方、単品購入なら、サイズLで7.26クレジット(726円)、サイズMで3.96クレジット(396円)、サイズSで1.1クレジット(110円)。
そのため、ダウンロード数が多くても定額制の販売ばっかりだと売り上げが全然伸びません。単品購入のダウンロードの有無によって、売り上げが大きく左右されます。
単品購入のダウンロードを意識して増やすことは難しく、運みたいなところもあるので、仕方のないことではありますが。
でもせめて、LサイズやMサイズでの単品購入が増えるように、高品質でサイズの大きい素材を揃えるのが望ましいですね。
コメント