写真や動画などのストック素材を販売するサイトはいろいろありますが、その中でも、私がお世話になっているサイトを、クリエイター目線で比較紹介していきます。
あくまでも、私個人の経験に基づく比較で、他のクリエイターさんとは違うところもあるかと思いますが、皆さんの参考になれば幸いです。
登録中のストック素材サイト
私は写真がメインのクリエイターですが、それ以外に、イラスト、CG画像、動画、AI生成素材なども出しています。
現在、私が写真素材や動画素材を販売している素材サイトは以下の通りです。それぞれの特徴を簡単に説明しておきます。
Adobe Stock
アメリカのAdobeが運営する大手ストック素材サービス。昔はFotoliaというサービス名でしたが、Adobeが買収した経緯があります。
PhotoshopなどAdobeの各種サービスとの親和性が高く、Adobeユーザーには利用しやすいためか、よく売れます。
ロイヤリティ率(売り上げに対してもらえる報酬の率)が、過去実績に関係なく誰でも33%(動画は35%)と高めなのもいいですね。
Adobe Stockについての詳細説明はこちら。
shutterstock
アメリカの大手ストック素材サービス。今ではどこもそうなんですが、ここは結構前からサブスクリプションでの販売に注力していた印象がありますね。
まあまあ売れやすいですが、ロイヤリティ率が全体的に低めです。
shutterstockについての詳細説明はこちら。
iStock by Getty images
アメリカのストック素材サービス大手、Gettyimagesが運営するサイト。
世界中に太い販路を持ち、顧客数も多く、ダウンロードのされやすさという面ではピカイチです。
ただ、その一方で、ロイヤリティ率が15%(動画は20%)と低いのが難点です。
PIXTA
日本の大手ストック素材サービス。
上に挙げた3つのサービスは、海外の超大手で確かによく売れるのですが、日本語に対応してないところがあったり、問い合わせ対応に時間がかかったりと、何かとデメリットもあります。
それに対して、PIXTAは日本企業の運営で安心感があり、また、日本のサービスの中ではかなり売れやすいと感じます。
PIXTAについての詳細説明はこちら。
imagemart
報道写真とかで有名な日本のストックフォト、アフロが運営するストック素材サイト。
アフロ本体は高品質・高価格であるのに対して、こちらは低価格帯に特化しているようですね。なので、審査はそんなに厳しくないです。
また、ロイヤリティ率が高いのが特徴です。通常30%でこれでも十分高いですが、現在は期間限定で50%のキャンペーン実施中。
Qlean Market (by amanaimages)
日本のアマナイメージズが運営するストック素材サービス。
アマナイメージズは、以前は、アフロと並ぶ大手ストックフォトのアマナの子会社でしたが、現在はアマナとの資本関係はなくなっています。
ここはあまり売れませんね。購入ユーザーの数が他社と比べて少ないのではないかと感じます。
123RF
マレーシアの会社が運営する大手ストック素材サービス。
日本語にも対応。ただ、上の海外大手3社と比べると、システムの安定性や対応に少々不安があります。
また、作品ジャンルにもよるのかもしれませんが、売れ行きもあまり芳しくありません。
MotionElements
シンガポールの会社が運営する素材販売サイト。
ここは、上に挙げたのとはちょっと毛色が違いまして動画素材がメインです。もちろん写真素材も販売できるのですが、私はもっぱら実写動画を中心に出しています。
他社との大きな違いは、素材登録時の審査がないこと。ちょっと手ぶれが気になるかな、という動画素材でもここなら問題なく登録できてしまいます。
素材サイトの比較
次は、上で紹介したストック素材サイトの比較です。
あくまでも、私個人の独断と偏見による評価です。その点はご了承ください。
なお、MotionElementsは動画がメインで、写真やイラストが主のサイトとは評価の基準が少し異なってきますので、ここでの比較からは外しました。
サイト評価
Adobe Stock | shutter stock | iStock | PIXTA | image mart | Qlean Market | 123RF | |
売れやすさ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | △ | × | △ |
ロイヤリティ率(%) | 33 | 15-40 | 15 | 22-42 | 30(50) | 30-40 | 30-60 |
登録作業 | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
審査 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
動画素材 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | ○ |
AI生成素材 | ○ | × | × | ○ | ○ | × | ○ |
総合評価 | A | C | B | B | C | E | D |
評価項目の補足
売れやすさ
まず、Adobe Stock、shutterstock、iStockの海外大手3サイトは、特に売れやすいです。それぞれ販路が広く、私の場合でも、アメリカを中心に世界中からダウンロードされています。
PIXTAの場合は、購入者の多くが日本の方とは思いますが、まあまあ売れていますね。
それ以外はあまり売れていません。Qlean Marketに至っては、一年で数回程度しかダウンロードされません。
ロイヤリティ率(報酬率)
素材が1回ダウンロードされたときの、その売り上げに対する、クリエイターに支払われる報酬の率です。
写真・イラストなどの静止画と動画でロイヤリティ率が異なるサイトもありますが、ここでは、静止画におけるロイヤリティ率を示しています。
ロイヤリティ率はサイトによってまちまちです。また、shutterstockやPIXTAのように、過去の売り上げ実績に応じてロイヤリティ率が変動するところもあります。
この点、過去の実績に関係なく、一律に高いロイヤリティ率が設定されているAdobe Stockやimagemartは、登録後日が浅く販売実績が低い場合でも収益を上げやすいです。
一方、iStockはロイヤリティ率15%(非専属クリエイターの場合)とかなり低いため、ダウンロード数は多くても、トータルの収益ではAdobe Stockよりも少なくなりがちです。
登録作業
素材登録の際の、タイトルやキーワード等のメタ情報の入力に関する作業性です。特に、たくさんの作品を登録する場合に、作業効率の観点からかなり重要になります。
例えば、日本語でタイトルやキーワードを入力できる点や、異なる作品間でそれらを簡単にコピー&ペーストできる点があると、作業性が高いと評価しています。
例えば、shutterstockはタイトルやキーワードの日本語入力不可、また、iStockはタイトルなど一部は日本語不可。これらのサイトでは、英語への翻訳に手間がかかり作業性が下がります。
審査
素材を登録する際の審査の厳しさです。◎は通りやすい、○は普通、△は却下多し、×は今回つけませんでしたがほとんど通らない、という感じです。
なお、ここでいう「審査の厳しさ」とは、画質や構図など素材の品質に関する判断基準を指しています。ロゴが映り込んで商標権など他者権利を侵害するような素材も却下されますが、そういう権利関係の判断基準は含めていません。
PIXTA、iStockは審査が緩く、明らかにピントが外れているようなものでない限り、たいてい通ります。Adobe Stockはそれらに比べると、特にノイズについて厳しいかなという感じがします。
shutterstockは、以前は却下率が非常に高く、×の評価をつけるようなレベルでしたが、審査のアルゴリズムを変えたのかわかりませんが、急に審査に通りやすくなりました。
また、納得しがたい理由で却下されることもあります。ピントはしっかり合っているのに「ピントが合っていない」とか。そういう理解不能の却下が多い場合も、ここでは評価を下げています。例えば、123RFはそういうのが非常に多いですね。
動画素材
写真・イラストなどの画像だけでなく動画を販売できるサイトも増えてきましたが、どこでも取り扱っているわけではないため、動画素材販売の有無について比較に入れました。
現在、私は動画素材も作っておりますが、一般に動画は写真などと比べて販売単価が高く、一発売れたらでかいです。
やはり、動画についても、Adobe Stock、shutterstock、iStockは売れやすいですね。
AI生成素材
ここ数年で、生成AIで作った素材を受け付けているサイトも増えてきています。そこで、生成AI素材の対応有無についても比較しました。
なお、一部のストック素材サービスが生成AI素材を禁止しているのは、生成AIが他者の作品を無断で学習に利用するために著作権侵害につながる、という懸念が解消されていない、というのが大きいです。
ただ、今後、生成AIについてのルールが整備され、上の問題が解消されていけば、どのサービスも、生成AI素材を受け入れる方向に進むのではないかと思います。
総合評価
稼ぎやすさ(ダウンロードの多さ・ロイヤリティ率)と、登録のしやすさ(作業性・審査通過率)を踏まえたそれぞれの評価をA~Eの5段階で示します。
私の一番のおすすめはAdobe Stockです。クリエイター登録するなら真っ先にここを検討しましよう。
ロイヤリティ率が高い上に、ダウンロードも多いので、売り上げの主力になってくれます。また、登録作業が楽で、審査での却下もそれほど多くないので、作品数を増やしていくのも容易です。
次に、ダウンロード数の多いiStock、shuttestock、そこそこ売れるPIXTA、そして、ロイヤリティ率の高いimagemartですね。
Qlean Marketと123RFは、現時点では売れ行きがよくなく、効率面からおすすめしません。ちょっと時間があれば登録しておくか、という感じです。
ただ、これまでの経験上、サイト側あるいは自分側の取り組みにより、当初の問題点が改善されたり、急に売れ行きがよくなるということがあります。
私がストックフォトを始めたころは、特にAdobe Stockやshutterstockで、納得のいかない理由での審査却下が多く、かなり苦しめられました。
また、iStockやPIXTAは、作品数を増やしてもあまり売れなかったのですが、それぞれの需要の傾向(ジャンルとか構図とか)を掴み始めると売れるようになってきました。
ですので、時間が経てばまたこの評価も変わっていくかと思います。そのときはまた更新しますね。
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